謎の人達
最初のアメリカ人に関する新たな発見

グラハム・ハンコック

Virachocha Head
ビラコチャのイメージ (ボリビアのティアワナコ) 【拡大可、以下同じ】


 私の著作『神々の指紋』(小学館、翔泳社)(原作初版:1995年4月)と 『天の鏡』(翔泳社) (原作初版:1998年9月)の読者なら、先史時代のアメリカ大陸には様々な異なる人種グループ −ネグロイド(黒人)、コーカソイド(白人)およびモンゴロイド(黄色人)−が存在していたと、私が一貫して主張してきたことをご存じであろう。そのような考えは、自分たちが唯一のアメリカ「先住民」であると長い間主張してきたアメリカインディアンの一部にはかなりの不快感をもって迎えられたし、また、現在のアカデミズムによる教育を否定することにもなる。最後の氷河期が終わるまでの新世界は無人のままで、そこへ約一万二千年前(シベリアとアラスカの間に陸橋が存在した頃)、もっぱらアジアのモンゴロイド放浪民がベーリング海峡を越えて南北アメリカ大陸全体へ進出して定着した(南米へは約九千年前に到達)というのが彼らの考え方である。当然、この教えでは、十五世紀から十六世紀にかけてのコロンブスの到来とヨーロッパ人による征服以前には、アメリカ大陸のいかなる場所にもコーカソイドやネグロイドは存在しなかった、という事になる。

             

The Walker Bearded Caucasian
「歩く人」として知られているコーカソイドの人物像(ラベンタ) コーカソイドの人物像
(モンテ・アルバン)


 『神々の指紋』を私に書かせた歴史の謎の一つは、遙かなる昔、明らかにアメリカインディアンではない人々がアメリカ大陸に存在したことを雄弁に物語る、神話や彫像という証拠であった。南米の神ビラコチャも、メキシコの神ケツァルコアトルも、どちらも背が高く、白い肌で赤い髭を生やし、時には青い目をした姿で描かれてきた。

Bearded Caucasians
コーカソイドの人物像
(モンテ・アルバン)

 そのような人物を描いているかに思える古代の彫像が、オアハカ近郊のモンテ・アルバンや、メキシコ湾沿岸地域のラベンタで見つかっている(ちなみに、ラベンタには恐らく、中米で最も古い最初の高度な文明である謎めいた「オルメカ」文明に関係する史跡が存在する。)。これらのコーカソイドの人物像は、モンテ・アルバンのケースで紀元前六百年頃、ラベンタの場合には紀元前千二百年頃にまで遡り、これはヨーロッパ人による征服のほとんど三千年前のことである 。


Olmec Head Olmec Head
オルメカの巨石人頭像


 さらに好奇心をそそられることに、ラベンタではコーカソイドの人物像と同じ考古学的地層で他の彫像も発見されており、その大部分が巨石人頭像の形式である。繰り返すが、これらの彫像、いわゆる「オルメカの巨石人頭像」は、原住アメリカインディアンの典型的特徴を示さない。これらは外観において明らかにネグロイドであり、現代のアフリカ人、メラネシア人あるいはオーストラリアのアボリジニーによく似た人物を描いている。

Olmec Head
オルメカの巨石人頭像


 『神々の指紋』と『天の鏡』で、これらの変わった彫像とそれにまつわる神話について、私は長々と書き綴った。私が論じたのは、実際に存在した人々がこれら双方の彫像タイプのモデルとなったに違いないということであり、したがって、それらは三千年以上前の新世界にコーカソイドやネグロイドが存在した歴史的証言として、真剣に受けとめられるべきであると主張した。1995年に 『神々の指紋』が初めて世に出た時、この見解を受け入れる正統派の学者は誰一人としていなかった。その後、新しい証拠が明るみに出て、専門家たちはその見解を再考し、アメリカ大陸にはモンゴロイドだけが住んでいたという定説から一歩退かざるを得なくなった。最初の突破口は1996年から1997年にやって来た−



『1997年4月15日(火)のワシントンポスト最終版』
 「(米国)西部諸州のいくつかと、はるか東のミネソタ州で発掘された人骨は、最初のアメリカ先住民はすべて今日のアジア人に似ていたという従来の考えに疑問を投げかけている。これらの頭骨はヨーロッパ人に似た特徴を帯びており、九千年以上前に新世界へ移住した最も初期の人類の一部はコーカソイドであったことを示唆している。人類学者たちは、そのような人骨のことを何年も前から知っていたが、ここ数か月にそれらが再鑑定されるに至るまで、その重要性を完全には評価していなかった。この最近の分析を促したのは、昨年の夏に発見された最新の人骨が示した証拠である。それは約九千三百年前に、現在のワシントン州ケネウィク近辺で命を落とした男の稀なほど完全な人骨であり、それは明らかにコーカソイドの外観を呈している...その男性の頭部と両肩はミイラ化し、そのあたりの皮膚をかなり残していた...彼を検査した人々は、(放射性炭素測定がその太古の年代を明らかにするまで、)当初は(この人骨を)ヨーロッパからの移住者の遺骸だろうと考えていた。『刺激的な時である。我々は、北米への人類の定着の話に、何らかの実際の変化を目のあたりにすることになると思う』と、スミソニアン協会国立自然史博物館の権威、デニス・スタンフォード氏は語っている」

 すべての学者が、ケネウィク人がコーカソイドであることに合意するとは限らないが[ リンク1(英文)]、しかし、少なくともこの発見は、アメリカ大陸への人類定着に関して確立されていたモデルに、ある重要な疑問を投げかけた。他の発見の数々がさらなる疑問を投げかけている。
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