ニック・フレミング氏による氷河期に水没した大国(Flooded Kingdoms of the Ice Age)第2話の批評に対するグラハム・ハンコックの応答: この応答は掲示板ミステリーズに5部に分かれて掲載されたものです。

セクション1:はじまり

ニック・フレミング氏の言葉:
本物の海中遺跡の画像から始まるのはすがすがしい。親しみが持てドワールカー(Dvaraka)の写真はもっと見たいくらいである。

しかしながら残念なことに、第2話は陸地を歩き回ることに終始した。

さまざまな村、寺院、陸上の考古学的場所、数々の専門家さらにはヨガ道場まで訪問し、インドにおける考古学的順序の包括論を語り合った。一人の人間が2,3ヶ月の調査で、インド亜大陸に関する考古学データーを一新しようなど私には想像できないことであるが、それがまさにグラハム・ハンコックの目的のようである。

ドワールカーの年代は3700年前と発表されている(S.R.ラオ)。ハンコックはこれに反論しドワールカーは1200年前に存在したと主張する。青銅器時代の地中海沿岸都市と比較すると、古い年代が完全に該当する。しかしながらハンコックが意図するのは、古い年代を疑問視することでドワールカーが新しく見え、次に続く映像である素性のより不明瞭な海底遺跡が、ドワールカーと類似して見えるであろうとの狙いだ。そして、これにより大国水没論を優位に立たせるつもりだ。

海底遺跡についての番組と称しながら、海中の画像が合計数分しかないことには驚いた。私としては、大量の音波サイドスキャン画像を含め少なくとも20〜30分の海中シーンを期待していたのだが。実際見たのはグラハム・ハンコックのウェッブサイトに掲載されてるのと同じ短時間の映像だった。



グラハム・ハンコックの応答:
ニック・フレミング氏がドワールカーの海中写真を気に入ってくれたのは喜ばしい。ドワールカーについては、その謎の全貌をいつか誰かがドキュメンタリーにすべきと思う。もしかしたら私が製作することになるかもしれない。

ドワールカーの調査を開始した当初、水没した遺跡はかなり古いものではと期待していた。遺跡と同時代の人工物が見つかっていないことから、この説は論理的には可能性があった。しかしながら、ドワールカーと10年間付き合い、インドの国立海洋研究所(National Institute of Oceanography)の友人と2回に渡る困難なダイビングシーズンを経て、問題の遺跡を氷河期末期と結びつける説はすべて放棄せざるを得なかった。ドワールカーの存在は、紀元前1500年から1700年(今から約3700年前)に遡るというのがS.R.ラオの説で、一般に受け入れられている説だが、NIO(インド国立海洋学研究所)の考古学者達はこの説を放棄する方向にあることも明白になった。番組で提示した理由、及びその他のれっきとした考古学的理由により、NIOの新世代の海洋考古学者達はラオ説が正しいとは思っておらず、ドワールカーの海底遺跡は紀元800年から1400年(フレミンング博士は誤って1200年前と引用したが、そうではなく1200年から600年前)に存在したと理解している。

この結論は、番組に出てくるNIOの考古学者スリ・スンダレッシュ氏及びA.S.ガウル博士のインタビューの中で明白になっている。フレミング氏がなぜこれを見逃したのか理解できない。またドワールカーの存在年代に関して、あれほどまでに自信を持って一般説の3700年前を擁護できる人間が、スンダレッシュ氏や、ガウル氏及びシラ・トゥリパティ氏のように現地を過去10年くまなく調査した人間の調査結果を用いていないことに驚いている。フレミング氏はS.R. ラオの3700年前説が、あやふやな基盤に基づいていること、客観的テスト(遺跡と同年代と判明された有機物の放射性炭素年代測定や、土器の熱ルミネッセンス測定)が何もなされていないことすら知らないようである。ラオ説は、単なる推測に基づく年代予測なのである。私としては、この説が何の検証もなく考古学の一般論として確立されたことが信じがたい。

S. R.
ラオ氏には、会ってインタビューをしたことがあり、私は最高の敬意を抱いている(インタビューはアンダーワールドで再現)。彼はインドの考古学会においてもっとも頭脳明晰な、直感に優れた、創造性豊かな心の持ち主の一人だ。しかしながら、氏は数年前に引退しており、健康も優れず、ドワールカーの調査は氏の引退後も急速に進んでいることを理解しなければならない。更にはラオ氏はインドにおける海洋考古学を創立はしたものの、彼自身はダイバーではなく、ドワールカーの遺跡にも潜ったことがないのは、彼の知人の間で周知のことだ。実質的海洋考古学はスンダレッシュ氏、ガウル氏そして他(本来ラオの指示を受けていた人間)によってなされている。スンダレッシュ氏、ガウル氏他による論文で、ドォワラカが3700年前よりはずっと新しいという内容のものがアンティクィティー(Antiquity)という学会誌に提出されている。

正直言ってフレミング氏には失望である。ドォワラカの最新のリサーチに関して無知であるにも拘わらず、不完全な知識を用いて私が何か企てようとしてでもいるかの下記の発言:「しかしながらハンコック氏が意図するのは、古い年代を疑問視すれば、ドワールカーが新しく見え、次に続く映像である素性のより不明瞭な海底遺跡が、ドワールカーと類似して見えるであろうとの狙いだ。そして、これにより、大国水没論を優位に立たせるつもりだ。」としている。

まったく馬鹿げた話だ。10年の関与を経てドワールカーで何が起こったかというと、一度は氷河期に水没した大国なのではと思った遺跡が、それまで信じられていた3700年という年月さえ経ておらず、1200年から600年前に存在していたと分かったのだ。この事実は番組の中で客観的かつ正直に提示しており、現地の考古学の専門家達に最新の調査内容も語ってもらってもいる。それがフレミング氏に言わせれば、大国水没説を「優位に立たせる」ためのもくろみということになるらしい。

(フレミング氏には)申し訳ないが、私にはどうにも解せないのである。



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