ニック・フレミング氏による氷河期に水没した大国(Flooded Kingdoms of the Ice Age)第2話の批評に対するグラハム・ハンコックの応答: この応答は掲示板ミステリーズに5部に分かれて掲載されたものです。

セクション2: 方法論

ニック・フレミング氏の言葉:
科学的作業をする場合、実験を段階分けしてデータを作成し、真理追求が可能な推論を立て、次の段階として有益な作業を提案してプレゼンを終えるというのは、筋の通った方法である。提案は、議論に基づく論理的意見だったり、勘や憶測の場合もある。どれも論理的には可能性を示唆しており、将来的に検討を必要とするので、議論として受け入れられるものだ。

たとえば私はマルタ・シシリーとイタリーが陸続きであったことに基づき、旧石器時代の種族が大陸棚で狩猟していたと推論し、この推論は調査可能であると提案したが、この提案はすでに確立している証拠に基づく提案であり筋の通ったものだ。
 

しかし、この論理は逆方向に流れるものではない。

Aという事実があったかもしれず、Bが起こった可能性もあり、さらにCもあったかもしれない。それ故私は氷河期に水没した大国が確実に存在すると結論する。」という議論では筋が通らないのだ。社会科学には、常に何十種類もの他の可能性が存在する。つまりハンコック氏がAが起こったかもしれないと言う都度、他の多数の可能性も同等にあり得ることを認めなくてはならない。もし、5つの可能性が3回提示されるなら125通りの結論が可能なのだ。

にもかかわらず大国水没説によれば、保守的にもたった1説だけが擁護されているのだ。

125通りの可能性がある場合、科学的手段として一般的なのは、お金と時間を高額のリサーチに費やす前に、見込みのないものを除去することだ。水没王国説を考察すれば、大陸棚に存在する100件以上もの既知の石器時代遺跡と、陸上の同時期文化の存在が、同説を真っ向から否定する膨大な証拠であることがすぐ分かりこの議論の終点となる。これ以上水没王国説に無駄な時間を費やすことは間違いである。

「可能性としては・もしかしたら・こういうことかも」的議論を多数挙げた上で、ハンコックは彼の唯一の仮説である水没王国説が確実に実体化したと結論付けているのだ。

これは間違っている。

ハンコックが使うもうひとつのテクニックは「今発見しましたが、、、」とか「今分かりましたが、、、」等の頻発で、まるで彼自身が初めて発見したかのような発言だ。「発見」として扱われているものの大多数は、考古学や海洋学を学ぶ者の間で過去何10年も知られているものであり、その内容は数分で要約できるはずだ。真にオリジナルな海底遺跡の映像があるなら、残りの時間をそれに費やせばよい。

この良い例はコンピューターによる海の地図だ。何度も何度もいろんな地図を見せられたが、中には同じ地図が何度も出てくる始末だ。ミルン博士が開発した技術は確かに便利で、1,2度使う分には差し障りがない。しかしながらタイムズ・コンサイスアトラスのような今時の地図帳なら、大陸棚のだいたいの深さは記載されている。私の家にある地図帳(リサーチ用の書類ではない)には、海岸のある国は水深25メートル、50メートル、200メートルと、濃さの違う青で表示がある。こういったあたりまえの地図帳を持ってる人なら誰でも水深200メートルに向かううすい水色が大陸棚のへりであることが分かるはずだ。氷河期の海水面が8千年前には-25 メートル、1万年前には-5 メートルだったことを知っているなら、2つの中間色が当時の海岸線であることが分かる。ロケットサイエンスのようなむづかしいものではない。家で自分でできることだ。

この番組は、本来単純で面白いはずの内容を説明する代わりに、視聴者を驚かし、煙に巻くように作られいるというのが私の懸念だ。石器時代の住居跡は世界中のあらゆる海岸沿にあるはずだ。何を探せばいいのか正確に把握していて、ちょっと運のいいスキューバダイバーなら、人工物は探せるはず。ミステリーでもなんでもない。



グラハム ハンコックの回答:

フレミング博士は、控えめながら自分の仮説である新石器時代のシクロ・マルタ大陸棚にいたというハンターについて語り、「この提案はすでに確立している証拠に基づく提案であり、筋の通ったものだ。」と言っている。それとは対照的に、私の考え方は非論理的かつ非科学的と叱責したばかりか、私の論理法を次のようにコミカルに提示している:「Aという事実があったかもしれず、Bが起こった可能性もあり、さらにCもあったかもしれない。それ故私は氷河期に水没した王国が確実に存在すると結論する。」

これは私の議論でも論理法でもない。フレミング氏の曲解である。アンダーワールドやテレビシリーズで私が成し遂げようとしているのは、これまで無視されてきた可能性に焦点を当て、積極的調査をするということだ。その可能性とは、世界規模の洪水が文明を破壊したという古い伝説が、氷河期末期の実際の記録であるかもしれないということだ。調査をするにあたり、浸水地図という技術を利用した。この地図を見ると、氷河期末期の海面上昇のため、2500万平方キロメートルの土地が水没したことが分かる。そういう訳でフレミング氏の次の主張には感心できない。:「水没王国説を考察すれば、大陸棚に存在する100件以上もの既知の石器時代遺跡と、陸上の同時期文化の存在が、同説を真っ向から否定する膨大な証拠であることがすぐ分かり、この議論の終点となる。これ以上水没王国説に無駄な時間を費やすことは間違いである。」

氷河期末期に水没した土地が2500万平方キロメートルで、その土地から見つかった石器時代跡が世界中に100件程度しかないことが、私にとっては水没王国説が無駄でないことの裏づけであり、調査の継続は間違いではなく正当かつ理に適ったものであるはずだ。このウェッブサイトのイントゥロダクションでも言及したように、水没した土地から見つかった遺跡が数少ないのは、遺跡が存在しないからではなく、海洋考古学者による探索が非常に限られていること、そして小規模であることが原因だ。フレミング博士も否定できないはずだが、徹底した調査と研究が行われた水没遺跡はごく少量で、大多数は何の調査もなされていないというのが明白な事実だ。海洋考古学者が既に知っている100件強の石器遺跡になんら驚くべき特徴が無かったからと言って、まだ発見されていない水没大陸棚の遺跡のすべてが、何ら驚くべきものではないと結論するのは、論理的に正しいとは言えないのではないか。

アンダーワールドの中で、インドの南東と北西の海底から見つかった物を紹介しているが、フレミング博士は彼の批評の中でその発見の信頼性を傷つけるべく、極端なまでの努力をしている。それがなぜかというと、私とインドの海洋学者及び海洋考古学者が発見物の年代に関して正しいならば、フレミング氏の説が間違っていることになり、100件の水没石器時代跡は海底にまだ潜んでいる遺跡を代表するものではない、ということになるかだら。

この件に関しては、フレミング氏の批評の該当セクションを検討する際、触れることにする。彼いよる私の方法論の批評について続けると、こんな言及がある:「可能性としては・もしかしたら・こういうことかも」的議論を多数挙げた上で、ハンコックは彼の唯一の仮説である水没王国説が確実に実体化したと言っているのだ。」

私は水没王国説が確実に実体化したという結論は出していない。テレビシリーズと本の両方で出した結論は、私のように自己資金の作家兼ダイバーのわずかな作業で判ったことから、水没王国説には何らかのメリットがあるかもしれず、調査を続けることは確かに価値があるということだ。フレミング博士はこれに反対する権利はあるものの、視聴者や読者に私が結論を押し付けているなどと言う権利はないはずだ。

「発見しました、、、」や「今、分かったのですが、、、」等の私の発言にフレミング氏が異議を表しているのは嘆かわしい。私の番組は、調査する現場の証拠や情報を通して、私の個人的発見の旅なのであり、他にどんな表現を使えばいいのか?言葉尻を議論するこんな低次元の内容で点を稼ぐなんて、了見が狭く、真剣な論議とは思えない。

最後になるが、私の方法論に関してフレミング氏は、私がグレン・ミルン博士の浸水地図を使い過ぎていると批判している。ミルン博士が地図に注いだ膨大な作業にまるで無関心とも思える態度で、フレミング博士は氷河期以降の海水の上昇を研究している者にとって、ミルン氏の地図が「タイムズ・コンサイスアトラスのような今時の地図帳」に勝る利点はほとんどないと言っている。それに加えて、フレミング氏は、彼の家にある地図帳には、「海岸のある国は水深25メートル、50メートル、200メートルと濃さの違う青で表示がある。こういったあたりまえの地図帳を持ってる人なら誰でも水深200メートルに向かううすい水色が大陸棚のへりであることが分かるはずだ。氷河期の海水面が8千年前には-25 メートル、1万年前には-5 メートルであったことを知っているなら、2つの中間色が当時の海岸線であることが分かる。ロケットサイエンスのようなむづかしいものではない。家で自分でできることだ。」 とのことだ。

私には信じがたいことだが、フレミング氏は、ミルン氏が権威である氷河アイソスタシー(平衡)の素晴らしさに何の感心も示していないのだ。(ミルン氏の地図は、厚さ何キロメートルにも及ぶ氷の下で窪んだ土地が、何千年も掛けて元に戻り、時によっては周辺の海面レベルに大きな影響を及ぼしたことや、最終氷期最大期の水量減少に伴う海底の上昇、その後の氷の解凍による水量増大に伴う海底の低下等が考慮に入れられたものなのだ。)

という訳でミルン氏の地図を使ってグラフィックを作成し、氷河期末期の海岸線の変化を最も情報豊かな画像として視聴者に見せることができ、正しいことをしたと大変満足している。私の知ってる限り、これらの正確なグラフィックがテレビで放映されたのは初めてのことで、その使用にフレミング氏が異議を唱えていることに驚いている。




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