ニック・フレミング氏による氷河期に水没した大国(Flooded Kingdoms of the Ice Age)第2話の批評に対するグラハム・ハンコックの応答: この応答は掲示板ミステリーズに5部に分かれて掲載されたものです。
セクション4 : ソナー
ニック・フレミング氏の言葉
番組は、南西インド、プーンプハール(Poompuhar)沖の海中へと戻る。漁師の網が水中にあるむき出しの岩に引っかかり取れなくなるという事態が起こっていた。残念ながら、撮影スタッフは考古学遺跡である疑いが最も高いむき出し岩には潜ることが出来なかった。彼らは他の岩に潜った。水中の映像は実物そのもので、コンピューターによる補正はなかった。岩の地層面がナイフで示され、人工のブロックとの境界線であるという推定だった。
ハンコックが発見したと思ったこの構造物は、彼によれば儀式場の可能性があり、後でコンピューター・グラフィックで再生された。本解析者とSOC(Southampton
Oceanography Center/サウサンプトン海洋学センター)の科学者であり、堆積と海底地形の音波探査を何十年と専門にしているニール・ケニョン(Neil
Kenyon)博士は、問題の岩は確実に自然物であるという結論を出した。
番組最後の数分は、カンベイ(Cambay) の話題に戻った。
私としては、町を構成していた長大な長方形の構造を見せる、あるいは何マイルにも及ぶ航跡のサイド・スキャン・ソナー等多くの詳細情報を期待していた。
しかしながら、これらの画像は見せてもらえなかった。グラハム・ハンコックのウェッブサイトにここ何週間と掲載されている小さな写真が写され、手短な説明の後、取り除かれたのだった。都市という想定のこの場所は9マイルに及ぶが、そのうち2,3百メートル分の画像を1つ2つ見せられただけだ。
ところが、この物足りないサイド・スキャン画像が、いつのまにか複数階のビルが並ぶ荘厳な都市の話へと変身したのだ。映画トイ・ストーリー(Toy Story) やモンスターズ・インク(Monsters Inc.)にも匹敵するような劇的展開である。イギリス、サウサンプトン海洋学センターの音響、サイドスキャンソナー、地層探査の専門家達が、グラハム・ハンコックの公式ウェッブサイトの画像を検討した。彼らの見解は一致してはいないものの、まとめると下記のようになる。
海底の長方形の構造物に似た映像はすべて偶然出来たものだ。ソナー画像は白黒写真とは違う。慣れてない人は、ある場所をある一点から見た正確な遠近感のスナップショットと思いがちだ。実のところ、サイドスキャン画像は、船から見て真下及び横方向への線状画像の合成であり、画像上の物体の形は、船の速度や音響ビームの幅、そしてプリンターの紙の速さに左右される。ウェッブサイトの写真からは、これらのデータを推測することが出来ないため、サイドスキャンのスクリーンに現れた画像は、大体にして偶然の幻想なのだ。番組では不足データについてこれ以上の情報は提供されなかった。
菱形模様とその縦横比率は、垂直方向に起伏のある長方形が左上から光を当てられたもの、という錯覚を招く。人間の目は、写真や遠近法描写という経験から、このような計算をするよう条件付けられている。サイドスキャン・プレートNo.3は97mx24m、縦横比率(約)4対1とラベルが張ってある。しかし写真はどう見ても2対1で、上下方向に2倍の圧縮が必要だ。(そうでなければ、左右にもっと圧縮することになる。)10〜15°の線状交差模様も補正の結果である可能性が非常に高い。興味深いのは、「アンダーワールド」(P.675)中のハンコック自身の報告だ。それによれば、インド国立海洋学研究所と考古調査局は、両者共この発見物は人工物ではないという見解で、NIOの専門家はサイドスキャン画像の錯覚は音響処理過程で造られたもので、何の意義もないと判断しているとのことだ。NIOは世界クラスの機関であり、私は彼らの判断を信頼する。
サイドスキャンのシステムは、強い反射音=黒あるいは強い反射音=白として印刷するのだが、どちらの方式が使われたのかはっきりしていない。これは画像に解釈の幅ができることを強調している。つまり、「図の中に立方体は6つありますか、それとも7つですか?」とか、「絵の中に居るのは、あひるですかそれとも老婆ですか?」といった類の目の錯覚ゲームのようなものだ。
プレートNo.3では、左上と右下に線状交差の無い箇所がある。どちらの場合も右上から左下に単なる線がひかれている。現場の海流が強いため、砂丘で見かけるような線状地形が砂や他の柔らかい堆積物上に描かれたものであろう。この地形が写真中央で、線状交差地形と入れ替わる。このような組み合わせは地形学的特長としてまったく自然なものであるが、人工物としては非常に奇妙だ。同じような組み合わせがプレートNo.4の左上に見られる。
サイドスキャン画像には、問題の岩の正体を正確に確認できる証拠は何もない。写真を見る前の私の最初の印象は、「9kmに渡る海底都市」は、自然に化石化したビーチロックと判明するだろうというものだった。さらなる考察と人工物といわれているものを見た結果、硬い隆起は頁岩か泥岩の露頭と思われる。ビーチロックは、太陽光線と塩水に反応する珪質砂と炭酸塩鉱物に富んだ海岸の砂が、熱帯地方の海岸の水際で自然に固まったものだ。こうして出来るのは、幅数メートルの細長い岩で、その長さは数マイルにも及ぶことがある。さらに砂が運ばれれば、海に向かってたくさんの岩層が蓄積し、それらは完全に平らで、海岸に平行であるが、海岸の本来の傾斜に合わせて、沖に向けてほんの少し傾くことになる。このような地形は幅何十メートル、あるいは百メートル以上に及ぶこともある。
サブボトムプロファイラーの画像は必要以上に複雑に見える。写真下部の強調された地形は、写真上部にあるのは本来の反射音の二度目の画像を重ねた二重画像としているもので、反射の強さが2倍になっているのだ。これらの写真は無視していいだろう。サイトからは縦横の縮尺は分からないが、多分高さ数メートル、幅数十メートルであろう。これはビーチロックの地形として考えられる範囲内で、侵食した背斜構造の岩の一部と考えられる。
サイドスキャン画像とサブボトムプロファイラーの軌跡の位置関係が分からないので、この二つを正確に関連付けることは出来ない。サブボトムプロファイラーが「深みのある基盤」を見せたという番組の説明は馬鹿げている。音響探査画像には、必ず柔らかい堆積物に紛れて濃い灰色の線が散在するもので、その下にはゴツゴツした表面からの強い反射音が真っ白な紙として見えるものだ。この二つのコントラストが「深みのある基盤」のように見えるのだが、これは当たり前のことである。
グラハム・ハンコックの回答
カンベイ湾の底にある幾何学構造のソナー画像に関して、インドの国立海洋技術研究所(National
Institute of Ocean Technology/NIOT)の科学者達の専門的意見や判断があるが、フレミング博士は上記の批評で一度もそれには触れていない。現場で作業し、問題のソナー画像の製作と解析に直接携わった科学者など、まるで存在しないかのようだ。あるいは、フレミング氏によれば、彼らによる科学的画像解析など、イギリスのサウサンプトン海洋学センターの偉大な専門家の結論とは比べる価値もないといった扱いだ。
私がNIOTの科学者の意見に価値がないとは思わないことをここに記録しておこう。私は彼らが良心的で経験豊かな人間であることを知っているし、彼らが確固たる知識に基づいて行った、じかに入手したデータの解析を、サウサンプトンの人間の解析などよりはるかに信頼がおけると思う。(サウサンプトンの)彼らは私の番組とウェッブサイトにあるほんの一部のデータを間接的に見ただけで、それ以上実物には近づいていない。フレミング氏の批評からは、彼がNIOTの人々と話す努力をしたという印象も受けない。この話題に関する彼らの意見を完全に無視しているのだ。カンベイ湾から9千5百年前の都市が発見されたというインド政府の発表が、彼らの意見と専門的判断に基づいているにもかかわらずだ。
フレミング氏は、NIOTの科学的見解に疑問を投ずるだけの情報を何か持っているのだろうか?もし持っていないなら、彼らの発見に対する傲慢かつ見下した態度を、どう正当化するのだろう?
ここで言及しておくが、フレミング氏は、別のインドの機関については完全無視の対象としていない。その機関とはNIO(国立海洋学研究所・National
Institute of Oceanography)で、彼は「NIOは世界クラスの機関であり、私は彼らの判断を信頼する。」と言っている。
ということは、プーンプハールのU字型構造物について面白いことが言える。
「岩の地層面がナイフで示され、人工のブロックの境界線であるという推定だった。ハンコックが発見したと思ったこの構造物は、彼によれば儀式場の可能性があり、後にコンピューター・グラフィックで再生された。本解析者とSOC(Southampton Oceanography Center/サウサンプトン海洋学センター)の科学者であり、堆積と海底地形の音波探査を何十年と専門にしているニール・ケニョン(Neil Kenyon)博士は、問題の岩は確実に自然構造物であるという結論を出した。」
NIOが世界クラスの機関と太鼓判を押し、「彼らの判断を信頼する」と言ってるいるからには、プーンプハールのU字型構造が人工物であるというのは、私の意見ではなくNIOの意見であることをフレミング氏は知らないとしか考えられない。儀式という機能があったのではという推測も私よりずっと以前にNIOが提唱したのだ。以下は、NIOの雑誌.「海洋考古学」(Marine
Archaeology/Vols 5-6, 1995-6)にある、問題の構造物の初期探検の記載だ。「幅1メートルの突出物に数個のブロックが見つかった。ふたつの突出物の間隔は20メートル。海底23メートルにあるこの物体が信仰の場所であるかどうは、次の調査シーズンに検討される。」
この続きはアンダーワールドで語られている。フレミング博士も一冊持っているのだが、彼による私の番組の批評(NIOの結論を褒めている批評)の中では、NIOがU字型構造物を人工物と結論したことに関しては何の言及もない。ただ単に、彼とサウサンプトンの彼の同僚が、私の番組のみに基づいて「確実に自然構造物である」と自信を持っているとのことだ。
番組のほんの数秒の画像(それも不鮮明な画像である)から、これほどの自信を得るなんて、私には科学的とは言えない。フレミング博士が私の本を読む必要はない。しかしながら、NIOが問題の構造物について発行した独自の出版物を明らかに読みもせず、U字型の構造物が自然のものと判定するのは理に適わない。
(2002年)3月18日に、プーンプハールで3週間に及ぶ海洋考古学調査が始まる。この件に関して、私はNIO及びイギリスの科学探検協会(the
Scientific Exploration Society)との協力で積極的に話を進めていることを、この機会に言及しておきたい。私と妻のサンサも調査に参加する。目的は徹底的探索をすること、そして(出来たら)プーンプハール沖5キロのU字型構造物とその付近に散らばる27個のソナー画像上の異状物体を判定することだ。つまり、プーンプハールに関する私の「王国水没」説を現場での厳しい検証にさらすことになる。もし私が間違っていればそれも証明される。
学会からの私に対する一般的敵意があったとしても、科学的方法として良好であることを、多少なりとも認める気概は無いのだろうか?
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